ストレッチの新常識とは?

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ママ
斎藤さん!よく運動前にストレッチをやっているけど、あれって体が柔らかくなったり怪我の予防効果とかって本当にあるの?
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斎藤雄亮
いい質問ですね!
ストレッチは目的と方法を間違わなければ効果的です。
実はストレッチは皆さんが考える反動をつけずに行うストレッチだけではなく反動をつけて伸ばす方法や、実際の運動に近い動きで行う方法、トレーナーが徒手で行うタイプがあります。
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ママ
えー!?そんなに種類があるんだ!
反動をつけずにやる方法だけがストレッチだと思ってました!
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ママ
でも運動前に反動なしのストレッチは効果あるのよね?
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斎藤雄亮
反動なしストレッチをよく運動前後にやっているチームも多いですが、実は運動前後にやることはデメリットが多くあります。
運動前には実際に近い動きながら行う方法が柔軟性も高め、パフォーマンスの向上にも効果的です。
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ママ
じゃあそれ以外のストレッチの効果的な使い方を教えてください!
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斎藤雄亮
例えば腰痛や肩こりなど慢性的な傷害のある場合はトレーナーが徒手で行う方法や反動をつけずにセルフでやる ストレッチが効果的です。
反動をつけるタイプは「ラジオ体操」が代表的で、筋肉維持など血流促進に効果的です。
ポイントはストレッチ前に体を軽く温める事と、正しいやり方を継続的に実践することですね!
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ママ
ストレッチも正しく目的に応じて使い分けが肝心なんですね!明日からやってみよ!

5分でわかる、4種のストレッチ

 スタティックストレッチ《静的》

反動をつけずにゆっくり伸ばす一般的なストレッチです。

反動をつけないので筋・腱を断裂するリスクが少ないのが特徴です。

神経のリラックス効果も高いので就寝前や慢性的な障害やコリなどを改善する目的で使用し、疲労回復に向いています。

神経のリラックス・ 筋の伸張効果が高く運動レベルが低下する可能が高いです。

ダイナミックストレッチ《動的》

反動をつけて行う動的ストレッチの一種です。

特定の競技動作に関連した柔軟性を高める方法。腕や脚を交互に大き動かしたり、体幹を前後左右に振ったりします。

その場で行うものと、軽いランニングの中でリズミカルに伸ばしていく方法があります。

運動パフォーマンスを向上させる効果があります。

プロ野球選手の前田健太選手が行うマエケンダンスや、サッカーチームが多く導入しているブラジル体操などが該当します。

バリスティックストレッチ《動的》

反動をつけて行う動的ストレッチの一種です。

筋肉の「相反神経支配」を利用したものです。

簡単に言うと腕を曲げるとチカラコブができます。

その時裏側の二の腕は一番伸びているという仕組みです。

柔軟性を高め、筋温維持する効果が期待できます。

反動が大きくなることで筋肉・腱などの断裂等のリスクが高まります。

ラジオ体操が該当します。

PNFストレッチ《パートナー》

トレーナーが抵抗をかけて行うストレッチです。

筋肉・腱の神経に作用し、本来持っている力を引き出すものです。

関節可動域に拡大など大きなストレッチ効果を短時間で得られることが特徴です。

トレーナー(パートナー)が正しい知識を持っていることと、その人に合った抵抗をかけることが重要です。

運動前に効果的なダイナミックストレッチ

ではストレッチをする前に、ウォーミングアップで運動前にカラダを温めることの目的を今一度整理しましょう。

  1. 怪我の予防するため、運動実施前に疲労物質を取り除く。
  2. 競技、運動を始めることを身体に意識させ、筋肉の反応速度・反射性能を上げる。
  3. 筋温(身体)を温める。
  4. 筋温を上げることで柔軟性や関節の可動域を広げる。
  5. 全身に血液が回りやすくするために、心拍数を上げる。

静的なストレッチで上記のことを行うことは無理があります。

それは、静的ストレッチが動かずに行うものなので、心拍数を高めたり・筋温を温めたりすることができないからです。

心拍が上がらなければ筋温も上がらず、筋の柔軟性も関節の可動域の向上もみ込めません。 

静的なストレッチはリラックスするためのものであって、決して運動能力を高めるものではないのです。

それを証明するデータとして、国内海外含めて様々な研究機関から実験情報が開示されてます。

例えば、カナダの大学の研究データでは、「ふくらはぎを一定時間ストレッチした結果、神経送信の力や筋力自体の低下が見られた」という報告があります。

アメリカでは、股関節伸筋群・膝伸筋群をストレッチした組としない組に分けてジャンプ力の測定調査したところ、ストレッチをした組は、直後の計測でジャンプ力が低下し、同様の実験を短距離走で行った場合も、パフォーマンスの低下が認められたと発表されています。

また怪我の予防という観点でも、イギリスの研究で「ウォーミングアップに静的ストレッチをしたか、しないかで怪我の発生率に変化はなかった」、「身体が冷えた状態でストレッチを行うことが怪我を発生させる可能性がある」と発表されています。

スポーツ界・医療界ではこのような実験結果を受けて、静的ストレッチの活用についての見直しが進んでいるようです。

もちろん、静的ストレッチが全く効果がないということではありません。

運動後のクールダウンや慢性的な障害の改善として活用すれば、運動や生活習慣により動きづらくなった筋肉を伸ばしていくことで疲労回復につながります。 

それぞれの特徴を踏まえ運動前にはダイナミックストレッチでカラダを動かしながらカラダを温めて、運動しやすい身体状態を作りましょう。

また運動後や寝る前などは神経とカラダをオンからオフにするためにスタティックストレッチを用いて、リラックスしていきましょう。

まとめ

現代においてストレッチはスポーツ選手のみならず、家庭でセルフできる健康促進方法として定着しています。

全くストレッチをしたことが無いという人の方が珍しいのでは無いかと思われます。

ただし、ストレッチの方法や効果などを正しく理解して実践している人はその中の何%に当たるでしょうか?

どんなことでもどんなに真剣に行っても間違った運用をしてしまうと、効果がないどころか、マイナスの結果を引き起こす可能性があります。

そうならないために、正しい知識と方法を身につけ、その状況にあったストレッチ方法を選択することが重要です。