外反母趾おさらい
前回のおさらいなりますが、外反母趾をあらためて紹介します。
外反母趾とは足の親指が変形してしまって内側に曲がっている状態を指します。この外反母趾は男女や年齢関係なく誰でも発症する症状です。
主な原因は筋力低下や足の使い方に問題があり、足に本来あるはずのアーチが壊れてしまい足が平べったくなることから起こると言われています。
外反母趾の原因は様々ありますが、代表的なところでいうと「女性・ハイヒール・遺伝」となります。
女性は筋力が男性に比べて低く、またハイヒールやパンプスは足を圧迫して足をしっかり使えない状態にしてしまいます。
遺伝的要素はよく言われる要因ではありますが、医学的には「遺伝しない」と言われています。
ただ骨格的な問題から親が外反母趾の場合、子供も外反母趾になる確率は高いとのことです。
この3大要因と同じように近年注目されているのが、歩き方です。
とくにペタペタと足を地面につけて歩く歩き方は、普段使うはずの筋肉を使わず、足が外側に開いてその歩き方を継続してしまうことで、外反母趾を引き起こすと言われています。
外反母趾とスポーツの関係
スポーツ選手は外反母趾にならない?
インターネット上や噂レベルでよく言われているのが、スポーツ選手は外反母趾にならないということです。
ではそれはどういう理由からそのように言われているのでしょうか?
⒈スポーツ選手は一般の人に比べて上手に足全体を使えてる。
⒉足全体をうまく使うことで、体重移動も効率よく行えている。
⒊そもそも足底の筋力がしっかりついているのでアーチが壊れない。
確かにそう言われると納得してしましそうですが、では反対にスポーツ選手だからこそ外反母趾になる理由を挙げてみましょう。
⒈スピードに乗った状態からの急なストップor方向転換。
⒉長時間の運動による筋疲労からアーチの低下。
⒊自分にあっていないスパイクやシューズの継続的な使用。
⒋足の指の付け根付近でボールを蹴る。
⒌カカトを浮かせてつま先に重心をかける。
剣道や野球の内野手などは「スポーツ選手だから外反母趾になる」方が多いのです。
スポーツは筋力をつけますが、使いすぎ(オーバーユーズ)や使い方の間違い(ミスユーズ)から様々な疾患や症状が出る危険性を帯びています。
当然外反母趾も例外ではありません。
種目による外反母趾のリスク
マラソン
普通に考えて42km超の距離を歩くだけでも大変なのに、それを2時間強で走り抜けるマラソンは足の指だけじゃなく、足全体に大きな負担をかけています。
足底の筋持久力の低下などから外反母趾のリスクは高まります。
また長時間ぴったりしたシューズで足を圧迫していることも要因の一つになります。
マラソンだけじゃなく健康のために行っているランニングも同じような危険性を秘めていることを理解しましょう。
サッカー・フットサル
長短あわせて様々なダッシュと急な方向転換を必要とするサッカーも外反母趾のリスクが高い競技の一つです。
またサッカーの場合は足の親指の付け根でボールを蹴る機会が多く、親指の付け根にかかる負担は非常に大きくなります。
またマラソン同様、ほぼ試合中の2時間ほどはスパイクで足を締め付けているのも外反母趾のリスクを高めています。
バスケ・ハンドボール・ラグビーなど
サッカー同様、ダッシュと急な方向転換を繰り返す上記のような競技は外反母趾のリスクを高めます。
合わないスパイクで練習や試合をやることでそのリスクは一層高まります。
剣道
剣道をしたことがあるひとにはわかると思いますが、剣道の基本姿勢は前に出した左足はベタ足で後ろに残した右足はいつでも地面を蹴って前に進めるように、カカトを浮かしてつま先に重心をかけています。
その体勢がつま先・足の指に普段ではありえないような過大な負担をかけてしまっています。
外反母趾以外に起こるスポーツ選手の足の疾患
シンスプリント
下腿(膝よりしたのスネの部分)内側に位置する脛骨の下部分1/3に痛みが発生することが特徴です。
痛みは脛骨に沿って疼くような鈍い痛みで始まります。
運動開始時に不快感が現れ、そのあと消えて、また運動終了時に戻ってきたりします。
進行すると不快感は増大し、運動中は痛みが持続するようになります。
ひどくなると日常動作にも支障をきたします。
原因は集中的なトレーニング、硬い地面の上でのランニング、筋肉の使いすぎなどです。
アキレス腱炎
歩行やジャンプなどの足が関わる動作をしたときに発生します。
症状としては腫れを伴うのが特徴です。
進行すると腫れを原因とする血行不良やしこりを引き起こし、悪化するとアキレス腱断裂になることも。
原因は運動による疲労の蓄積と言われています。
下腿疲労骨折
一般の骨折のように皮下出血や大きな腫れを伴うことはありませんが、患部は軽い腫れがあり、押さえると痛みが生じます。
原因はランニングやジャンプなどの運動を継続的に行うことで、骨の同じところにストレスが繰り返しかかり、骨の再生が間に合わない場合に発生することがあります。
発生頻度が一番多いのは脛骨下1/3部分の後ろ内側に痛みが発生するパターンです。
陸上など走ることが多い競技では脛骨上1/3に痛みがでます。
バレーボールなどジャンプを多用する競技では脛骨中央1/3に痛みが出ます。
足部疲労骨折
10代の子供に多い疾患です。
主に中足骨という足の指の根元部分にあるMP関節と、基節骨と接続するPIP関節にある足部を構成する5本の骨で構成される骨が折れる疾患です。
足部疲労骨折を発生すると、足の甲部分に少しずつ痛みを感じるようになり、放置して運動を継続していると症状は進行し、痛みが強くなっていきます。
原因は強度の高い運動や足部に継続的な負荷がかかることによって発症します。
腸脛靱帯炎
ランナーズニー・ランナー膝などとも呼ばれます。
初期は膝の外側きしむような違和感や痛みを感じます。ランニング後などに痛み、休むと治ります。
症状が進行すると、痛みは徐々に大きくなり、なかなか治らなくなり慢性化します。
重症化すると痛みで曲げ伸ばしが困難となり、膝を伸ばしたまま歩くといったじょうたいになります。
原因は使いすぎ(オーバユース)、硬い地面でのランニングやO脚などと言われています。
ランニング動作に酷使される大腿筋膜張筋の過緊張からくる拘縮(硬くなっている)ことが要因とも考えられています。
すべての疾患に言えることですが、初期の段階で病院や専門の機関で見てもらい正しい治療や、休息をとることで、早くスポーツに復帰することが可能です。
不快感や痛みを我慢して運動を継続することで、重症化してしまうとスポーツに復帰するのにも時間がかかりますし、復帰してももとのパフォーマンスができるかというと難しくなります。
外反母趾がスポーツ選手に及ぼす悪影響
痛みをかばうことで歩き方が不安定になる
足に痛みがあるのでどうしても、知らず知らずのうちに患部をかばうような歩き方になります。
歩き方が不安定なので、当然速くも走れませんし、ボディバランスも崩れてきます。
足は体を支える土台です。
足が不安定になるということは体全体が不安定ということになります。
肩こり、首痛、腰痛、膝痛を引き起こす
足の歪みから、上体に様々な症状を引き起こします。代表的なところでは肩こりや首痛、腰痛、膝痛ですが、この上体の痛みを庇うような動作を繰り返すことで、もっと大きな障害を連鎖的に発生することもあります。
左右差がでてくる
外反母趾は当然ですが、左右同じように発生するわけではございません。
土台が左右違えばどうしてもその上にのっている上体に左右差が生じてくるのは必然でしょう。
このような上体で行うトレーニングは自ら左右バランスを崩すために行っているようなものです。
まずは土台の形成を第一に考えましょう。
心的ストレスがたまり集中力が持続しにくい
安定しない土台では身体だけでなく、精神的にも無意識のうちに不安感が発生します。
イライラしたり、練習に集中できなかったりと、スポーツに開く影響を及ぼします。
まとめ
外反母趾は女性に多いと考えられがちですが、男女共に発生します。
それはスポーツ選手も例外ではありません。
競技によっては非常に外反母趾のリスクが高いスポーツもあります。
スポーツの特性を加味しながら、身体の土台である足の健康上体を日々チェックすることが重要です。
自分の身体と相談するクセをつけて、小さな不調や不快感など目に見えない違いを一番早く発見できるスポーツマンになることが、スポーツ寿命を延ばし、競技で結果を出す近道だと思います。